多賀マークの教室日記

教育にかかるよしなしごとを、つれづれなるままに・・・。
「教育」というと、力の入った人か、アウトサイダー的な方かの両サイドが目立つ。
僕は、港と山にかこまれた神戸という風土で肩を張らず、妥協もせずに見つめてきた目から、今を語りたい。

哀しいことだなあ

Posted By on 2015年10月29日

突然の電話、
初めての教え子から、35年ぶりに。
残念ながら、訃報。
同級生の子が亡くなったとのこと。
神大附属の帰国子女学級の4年生。
4月のスタートが2人。
学年の終わりには8人になっていた。
亡くなったのは、香港から帰ってきた、
個性的な子どもだった。
バイオリニストになって活躍していると、風の便りには聞いていたが、
ここしばらくは闘病だったらしい。
雪が降るのを見て、
「雪ってどさっと積もるのかと思っていた。」
と言った子どもだった。
研究授業の当日に香港から帰国して入学。
3人しかいないところが突然4人に増えて、
新任の僕に何ができようか。
凄い研究授業になった。
不謹慎だけど、懐かしいのでつい、電話をかけてきてくれた子に
「お前、小さかったよなあ。20キロなかったものなあ。」
「先生、私、大きくなったんですよ。153cmあります。」
そんな話をしてしまった。
この子はずっと年賀状をくれていた。
35年前、何にもしてやれないダメ教師だった。
子どもたちの思いもたくさん潰した。
でも、あの子たちがいたから、
僕は一人一人に目を向ける教育を続けてきたなと
感謝している。
そんな思い出を胸に、合掌。
なんで先に逝くかなあ。

3月20日、低学年セミナー

Posted By on 2015年10月28日

第2回 低学年セミナー
昨年度試みて好評だった低学年に特化したセミナー、今年も開催します。各地でのセミナーは、高学年専門講師が圧倒的に多いので、どうしても高学年をイメージした子どもの姿で語られています。低学年の指導は、高学年とは違っています。低学年についての生活、授業の在り方を追及します。
■ 2016年3月20日(日)13時半~17時
■ 参加費 3000円 
■ 場所 兵庫県私学会館
http://www.hyogo-shigaku.or.jp/map.html
■ 内容
13時半~14時15分 「低学年(1~3年)を俯瞰する」多賀講座
14時20分~15時20分 「2年生の楽しい授業」中條講座
15時30分~16時15分 「1年生のとらえ方」 多賀講座
16時20分~16時50分  Q&A
■ 中條佳記。奈良県の小学校教諭。教育サークル「MY KOHAN」奈良事務局、教室を笑いであふれさせることを旨とする「お笑い教師同盟」の一員で、教員間のネットワークづくりに努めている。関西を中心に教員向けセミナーを主催する傍ら、自らも講演者として壇上に立つ。 著書『子どもの実感を引き出す授業の鉄板ネタ54』『コピーして使える授業を盛り上げる教科別ワークシート集 中学年』(黎明書房)
■ 多賀一郎 (追手門学院小)私学教師として永年担任を持ち続ける。現場主義。年間10校の公立校への指導助言の他、全国で親塾を主催して、保護者教育にも力を注ぐ。著書『ヒドゥンカリキュラム入門』『教師の話し方』『心を育てる作文教育』(明治図書)『一冊の本が学級を変える』『全員を聞く子どもにする教室の作り方』(黎明書房)他、共著、編著多数。

申し込みは下記から
http://kokucheese.com/event/index/349233/

 命日

Posted By on 2015年10月26日

教え子の霊前で
毎年のように短い対話をする。
この日はいつも、彼の最期のときを思い出す。
危篤と聞いて神大附属病院までとんでいったら
少し持ち直して、かすかな反応もあった。

ところが、学校にもどった瞬間に
「今亡くなりましたというお電話がありました。」
と。
今でも、あのとき僕らが行くのを待ってくれていたのだと
思っている。

僕が各地で生命の授業をするのは、
震災の思いと
彼への思いがモチベーションなのだ。
「命があるから生きる」
と言ったのは、彼の妹。
その子も僕の教え子。

卒業式の謝恩会で、車椅子でニットの帽子を被った彼を前にして
どうしても言いたかった。
ビデオに撮っているので、ずっと残っていくだろうから、
彼がどう生命を大切にしていたかを伝えておきたかった。
まもなく消え行く灯を前にして。

「みんなには、一生懸命生きてほしい。一生懸命に生きるってどういうことか分かるかな?
幹人が大変な病気だということは、みんな知っているよね。
苦しいに違いないのに、幹人が文句を言ってるの、聞いたことがあるか?
ないだろう。
一生懸命にがんばっているんだ。
一生懸命とは、文句を言わないで精いっぱい生きる事なんだよ。」

言葉は自分に跳ね返ってくる。
いつも霊前で
「僕は一生懸命に生きていると言えるのかな、幹人」
と、問いかけている。

12月19日、模擬授業対決です。

Posted By on 2015年10月25日

12月19日、神戸から多賀先生、俵原先生、米子から西村先生をお招きして、講座を開きます。
今回は、「授業で子どもを育む」をテーマに国語の模擬授業を通して考えていきたいと思います。
参加者のみなさんは授業を体感しながら、明日からの授業づくり・学級づくりにいかしてもらえればと思います。
講座内容
 9:40〜10:00 受付
10:00〜10:30 金
10:30〜11:00 西村先生
11:15〜12:00 座談 2つの模擬授業を通して感じたこと
               司会・・・多賀先生
13:00〜13:30 俵原先生
13:30〜14:00 多賀先生
14:15〜15:00 座談 2つの模擬授業を通して感じたこと
               司会・・・西村先生
15:10〜15:40 金・西村先生・俵原先生(各10分)
            「音読のミニネタ〜声づくりは学級作りだ」
15:50〜16:30 多賀先生 
           (国語で学級をつくる
申し込みは、下記から。
http://kokucheese.com/event/index/346510/

研究会のアフター

Posted By on 2015年10月24日

公立学校へ行き、講演の後くつろぎながら、
管理職とだべったり、
研究部と今後の相談をしたり、
若い先生の悩みを聞いたりしている。

そうすると、学校の抱えている課題や
子ども達の現状が詳しく分かってくる。
そのことが、次のアドバイスにもつながっていく。

「どうも、全体的に子どもたちの音読が弱いですね。」
「先生、元気に声をだすには、どうしたらいいですか?」
「先生方ですね。先生方の音読を変えていかないと。」
「じゃあ、一度、音読指導の話をしていただけますか。」
というように決まる。

また、先生方との関係が深まると、
「だったら、指導案の事前研に来るから、
放課後の日程を合わせて。」
という話にもなる。

年間指導に入ると、
そういう関わり方ができて、
僕の学校理解もさらに深まっていく。

笑いは大事

Posted By on 2015年10月23日

6年生の授業で
4年目の先生。
子どもたちと何かかけあいしながら
ときどきすべりギャグをはさむ。
研究授業で若い女の先生がそういうことをするのを
始めて観た。
学年のめあてに「必笑」という言葉が入っているからでもないだろうが
50人近い先生達の参観する中ですべるギャグを連発するのは
凄いと思った。
それほど体格の良い方ではない。
このクラスには170を越える子どもたちがいる。
その中で、
笑いは、武器なんだなと思えた。

笑っていたら、荒れない。
つまらないことですべられるというのは、
実は、学級づくりにもつながっているような気がした。

こんなときに限って・・・

Posted By on 2015年10月22日

今、正直、時間が足りない。
ふだんは
「多賀先生は、どうやって時間を作っているんですか」
と言われるくらいいつも時間の余裕がある。
それが自慢だったのだが。

週末から体調を崩していた。
微熱が続く。
でも、しなければならないことがたくさんある。
水、木、金と公立校へ行かねばならない。
来週も、月、火、水、金と公立校へ。
その土曜日が多教会。
それらの準備がさすがにぎりぎりになった。

同時に、単著の校正、次の本の書き始め、
今やっている往復書簡のプログラミング、
次年度の雑誌の計画立て、
堀さんとの共著の3段階目。

これだけ同時進行しているくせに、
『ソロモンの偽証』を読み始めた。
全6巻。
今、5巻目。
忙しいときに限って、こういうのに手をつけてしまうんだよね。
金曜の夜、
「今日は早く寝よう」と、一巻を持って布団に入ったのが、
まずかったなあ。

転用、加筆、改竄

Posted By on 2015年10月21日

今回の横浜のマンションでの欠陥傾斜の件。
なんとも言えないイヤな話だ。

会社側の使う言葉が
「転用」
「加筆」
等の心理的にダメージの低い言葉を使っている。

実際は、
転用や加筆ではなくて、
改竄、偽装なのである。

こういうように、
どんな言葉を使うかによって、
ごまかされないようにしなければならない。
それがメディァリテラシーであり、
国語の正しい言葉を使おうとする感覚なのである。

言語感覚や言語姿勢を育てることは
そういうところにもつながっていく。
教師自身が、そういう感覚がなければ、
子どもたちにも感化できない。

化学探偵

Posted By on 2015年10月20日

喜多喜久の
「化学探偵Mr.キュリー」3巻を読む。
この作者は東北大薬学の修士終了で
大手製薬会社の現役研究員という肩書き。
およそミステリー作家っぽくない。

残虐な事件がなくて、
らくに読めてしまう。

ベンズアルデヒト
アミダグリン
河内菌
ポリブチレンサクシネート
・・・

この本がなければ耳にすることもなかった言葉。
でも、我々の周りではこのような物質の活用が行われている。
調べてみたら、適当に書かれているものではないと分かる。

未知の世界は面白いものだ。
ミステリーをちょっと嗜みながら
軽く珈琲タイムのように読めば、楽しい。

「見える化」はオーケーなのか

Posted By on 2015年10月19日

明治図書の『国語教育』に
ついに当たり前のごとく「見える化」という言葉が使われるようになった。
僕は最近ときどきしか買わないが
今回は自分の原稿が4ページ載っているので、目を通した。

「見える化」って、いろいろと調べるのだけど
僕の知る範囲では、正しい日本語とは思えない。
動詞に「化」「的」等の言葉をつけてもいいのだろうか。
僕の言語感覚では、とても居心地が悪い。
ずっとそう考えているから「可視化」という言葉を使ってきた。

「国語教育」は日本の国語教育界を牽引してきた雑誌だ。
そこでも使われているということは、
NHKが「ら抜き言葉」を使うようになったのと、同じ現象なのだろうか。

若手が使っている間は、
「言葉を知らないのに・・・」
と思えたが、こうなってくると市民権を得たということなのだろうか。

でも、僕は「可視化」を使い続ける。