親力 ⑬

Posted By on 2022年2月19日

⑥ (親の)自立力
 自立力というのは、大人としては当たり前のことです。自分のことは基本的に自分でできて、生活力もあるのが大人です。
ところで、ここで言う自立とは、親が子どもから自立しているということです。
 簡単に言うと、子離れができているかということです。

※ 子どもは親の所有物ではない
昔、担任した子どもで、お母さんが過保護と言っていいほど、子どもの何もかもを管理する方がいらっしゃいました。詳しくは申せませんが、友達から食べ物まで、全てを管理していました。子どもはそれにべったりと乗っかって、お母さんの言いなりでした。
 心配した周りのお母さんたちが、ある時、ちょっと子どもに干渉しすぎてないかと注意をうながしました。
「あなた、子どもはいつまでもあなたの保護のもとで生きていくわけにはいかないのよ。子どもが年をとって、独身とかになったら、どうするの?」
と言うと、
「そしたら、私が一生我が子の面倒をみますよ。」
と、すましてお応えになったそうです。
 この方は、子どもから自立する気持ちもないようです。

 子どもは保護の必要な存在です。そして、親は子どもに愛情を注いでいきます。しかし、その愛し方も子どもの成長と共に変わっていかねばなりません。いつか子どもは親から離れて一人で飛び立っていくのですから。
 いつまでも子どもの世話をやいているわけにはいきません。
 そのいつか離れるときを見越して、少しずつ手を放していかねばならないのです。一生、目を離すわけにはいきませんが・・・。
 幼な子は、手がかかります。愛情も手もかけて育てます。それでも、ほんのちょっとしたときに子どもが自分でやろうとしたときには、その子が失敗するまで見届けてあげるのが、子育てです。
 こけても大したけがはしないだろうというところで、こけてどうするかを黙ってみていることが、子どもが自力で立ち上がる力を育成するのです。こけかけたら、ぱっとそばへ行ってこけないように手助けをするのは、教育とは言えません。

 子どものことはいくつになっても気になります。当たり前です。大事な我が子なのですから。
 しかし、いつも手助けをしていたら、いつまでたっても子どもは自立していきません。これは、
「何歳になったら、ここまで手を放す。」
というような数式にあてはめて考えることができません。子どもの個性や取り巻く環境によって変わります。
 僕の母親は、小さい頃に腎臓を患った僕の体調をいつも心配していました。
「眼瞼が腫れたら危ないんだよ。」
と、いつも言っていました。
 大人になって就職して、徹夜で仕事をしていたらやってきて
「早く寝ないと体にさわる。」
と言っていました。僕にはそれがうっとおしかったのです。しだいに母親との距離を置くようになっていきました。
 今、この歳になっても元気でいられるのは、母の献身的なかかわりのおかげだと心から感謝していますが、それでも僕は母親との関係は母が亡くなるまで良くなかったのです。
 子どもに自立させるのは、リスクを伴います。でも、最後に決定するのは子ども自身なのです。それを邪魔しないようにしないといけませんね。

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