親塾27の④さて、幼児期と作文
Posted By taga on 2013年7月22日
幼児期に作文まで書かせてしまう、という指導法があります。
モンテッソーリなどは、それで書ける子どもになった、と言っています。
古い人ですが、ルソーは、
「早くから文字を読み書きできるようになっても、それによって言葉の世界を現実の世界よりも重視するようになれば、教育としては、マイナスだ」
と言っています。
どういうことかというと、感性や感受性の元になるものを育てなければならない時期に、
言葉の世界だけに入り込むようにしてしまうことが、危険だと言うのです。
つまり、幼児期には、文字や文を書けることよりも、実物との出会いを大切にするべきだと言うのです。
大事なことは、文字は覚えたけれども、どうしても使ってみたいというモチベーションが育たなければ、
後々、ただ書くことがめんどうでつまらないということを感じるようになるということです。
だから、書きたくなった時に、書くようにするのが良いんです。
ヴィゴツキーという、言葉と心の関係について革命的な理論を打ち立てた天才がいます。
彼は、幼い子どもでも文字を教え込めば文章が書けるようになるというモンテッソーリの主張を否定しました。
そういう子どもたちは、決まりきった与えられた言葉しか使えず、
心から自然と湧いてきたような表現ができないと言うのです。
その通りなんです。
書くことは心を育てることなんです。
子どもの人間性や創造性を育てることなんです。
さっき、日記などの文学的文章を書くことには、意味があると言いましたが、
作文を書くということは、自分の心を耕すことなのです。
書いてみたい、という気持ちにならないといけないんです。
そのモチベーションもないのに、いろんなことを書かされて、書くパターンだけ教え込まれても、自分の心は耕されません。
遊びを中心とした幼児の生活があってこそ、
文字が読み書きできるということが役に立つんだと考えておいてください。
では、放っておいたら、そのうちに書く意欲が出てくるのか、というと、
そうはいきませんよ。
だって、書くことより楽しいことが、子ども達には山ほどあるのですから。
無理やり書かせようとしないで、子どもの書くモチベーションを育てるという方法が、一つだけあります。
それは、「お手紙」なんです。
お母さんがおじいちゃんおばあちゃんに挨拶状やお手紙を書く。
それを子どもの前で書きながら、「晋三ちゃんのことも書いてあげるわね。」と、目の前で書いて、読んであげる。
すると、子どもは、自分も書きたいと思います。
「じゃあ、あなたも書いてみるかな?あなたの伝えたいことを、言ってみて。お母さんが背書いてあげる。」
という方向へ自然と向かいますよね。
さらに、別に文字に書ける必要は、幼児期には全くありません。
かえって、子どもの成長にとって邪魔になるときもあります。
幼児期には、ともかく、子どもの話を聞いてあげてください。
そして、それをそのまま何かに書いて、子どもに見せて読んであげるといいですよ。
口頭作文と言います。
自分の発した言葉が文章になっているのを見ると言うのが、
大きな「自分も書きたいなあ。」という意欲になります。
そういう喜びを味わわせてあげるといいですね。
間違っても、幼児作文教室などにいれてはいけません。
少し書けるようになっても、その反対に心が育っていないということが起こりかねませんよ。
学習の遅れはとりもどせても、心の成長の遅れは、とりもどせませんからね。
具体例を示しましょう。
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