「笑顔と対話があふれる校内研修」という本

Posted By on 2013年4月3日

最近、石川晋さんの著書はほとんど読んできたのだが、

この本は始めから読む気がなかった、正直なところ。

なぜなら、僕はもう現場から離れて、校内研修を進める立場にならないからだ。

指導で呼ばれても、研修の企画は僕が口を出すべきではないと思っているから。

大野睦仁さんが送って下さったので、お気持ちをうけて拝読する、という感じだった。

「批判も大歓迎」とのことなので、

この二人になら、僕から批判されても+受け止め切れるなと思ったので、

けっこうシビアに読み込んだ。

 

ところが、読んでいるうちに、この本は僕には「痛い本」となった。

この本には、僕が結局できなかったことが書かれていたからだ。

僕は、学級経営【学級教育】に教科指導、子ども理解についてはそこそこ学んできた。

実践はあると思っている。

若い連中をフォローもし、アドバイスもして、後ろでささえてもいた。

しかし、校内研修は、全く推進できなかった。

確かに、僕を絶対に研究研修の担当にしなかった管理職に問題はあったのだが、

個人の立場でもっとできることはあったのに、僕はしなかった。

 

そのことをこの本はついてくる。

「こんなことができたはずなのに、お前はしなかったな。」

と、びしびしついてくる、辛い本だった。

 

具体的に述べよう。

まず、全体のレイアウトだが、

メモ欄のある本なんて、粋だねえ。

その割に中身はぎっしり感がある。

ただ、通信など、コピーしているところは、小さすぎて読めません。

天眼鏡がないと読めないのは、年寄りには辛いなあ(笑)

 

研究の話し合いに対する分析は、的を得ている。

そして、教師の日常的忙しさを前提とした研究会の在り方を提言している。

無理がない。

「これならできるかも・・・」

そして、時間をどうやって作るかも賛同できる。

こういうことをやっていかないと、教師の負担が増えるだけだから、脱落者が出るんだよね。

時間をかけないという主張がこの本の良いところ。

根性論や、「教師は・・・すべき」論のないのが、すてきだ。

 

研究推進担当の一番の悩みが、職員間の温度差だと思う。

みなそれぞれに事情もあって、温度差が生まれる。

この本はその温度差を縮めるためのてだてが書かれている。

 

これは、晋さんや大野さんが教室で子どもたちにしてきたことを

職員室に敷衍したものではないだろうか。

ワークショップ、ポートフォリオ、ブックトーク、ジュギョウバトル

アクションノート、アイスブレイク・・・

これらは、まさしくそうじゃないか。

 

「笑顔と対話があふれる・・」というタイトルは、羊頭狗肉ではない。

伊丹の小学校の研修に2年間つきあっているが

学年団でファシリテーション的な話し合いをする。

みなさん笑顔になれる。

これは、授業でも全く同じ。

 

個人的には、研究会案内に遊びっていうのが、気に入った。

でも、教員には頭の堅い人が多いから、

受け入れてもらえないかも知れないが、僕は好き。

 

今、教育系出版物のターゲットは、教職5年未満の若手だといわれる。

では、この本が重版になるということは、そういう若手が読んでいるということだろうか。

バカにしているのではないが、

この本を新任3年内の教師が読む意図が分からない。

研究推進や学校の現状を打破しようと言う中堅にはこの本を薦めるが、

新任の人たちには「5年早い」と言いたい。

僕の行っている伊丹の学校の先生達には、もちろんこの本を薦める。

ファシリテーション形式の研究会をしていることの意義を

もういちど考えてもらえると思う。

 

なんか、結局批判してないなあ・・・・・・

About The Author

Comments

Comments are closed.