親塾№16の2
Posted By taga on 2013年1月15日
◆ 愛の表現はさまざまである
「愛は静けさの中に」
ウイリアム・ハートとメアリー・マートンが主演した映画ですが、僕の一押しの映画です。
ウイリアムハートは、なかなか達者な役者さんですね。
本当のタイトルは、Chldren of a Lesser god、
邦題と違いすぎる題名です。
この映画は、ろうあ学校の教師として赴任したウイリアム・ハートが、
そこで掃除婦として働くろうあ者、メアリー・マートンと恋に落ちるという話です。
手話で愛を語るというところが、なかなかすてきな物語で、
映画館で観終わったとき、文字が音楽とともに流れていきますよね。
エンディングというものです。
いつもなら、大勢が席を立って次の観客と交代する時間なのですが、
だれも席を立たないんです。
最初、映画館に入ったときは、
「この人たちは、なんで席を立たないんだろう。」
と思いました。
でも、映画を観終わったら、そのわけがわかったんです。
立てないんです。
なんとも言えない感動に打たれて、席から立ち上がれなかったんです。
では、それが教育となんの関係があるのかと言いますと、
ウイリアム・ハートが耳の聞こえない子どもたちに、体で音楽を感じさせる指導をして、
子どもたちと一体になって、音楽の発表会をするんです。
とてもいいシーンなんですが、
それを見たメアリー・マートンは、自分よりも子どもたちを大切にしているような気がして、傷つくんですね。
ほかにも理由があったのですが、ともかく、学校から飛び出して、自分の実家へ帰ってしまうのです。
それで、ウイリアム・ハートは、彼女を訪ねていきます。
実家のドアをたたくと、母親が出てきます。母親は、
「あの子のせいでわたしも人生が狂わされた。あんな子は知らない。」
って、言うんですね。教育者であるハートは、
「なんて母親だ。それでも親か。」
と憤慨しながら、帰っていきます。
でも、ハートの帰った後、奥の部屋へもどった母親は、そこにいた自分の娘を抱きしめるんです。
そして、手話で会話を始めるんです。
そこには、子どもを心から愛する母親がいました。
他人には、自分の子どもへの愛を素直に表現できるものではないものだと、僕は思います。
職員室で、
「あの親は、分かってない。あんなやつに親の資格はない。」
などと、大声でおっしゃる方がいらっしゃいました。
僕はそれを聞くと、いつも暗澹たる気持ちになりました。
「いやいや、あなたの方が分かってないんだよ。」
と言いたくなります。
一見、子どもを愛しているように見えない保護者の方が、
とても子どもを大事にしている例を、僕はたくさん見てきました。
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