受け皿をつくるー親塾№3の話から その2ー
Posted By taga on 2012年6月1日
◆ まずは、「受け皿」づくりから
人は、話の内容がいいから聴いてくれるというものではありません。
基本的に、話を聞くのは、相手との関係によって決まるのです。
相手の心の中に、その人に対する「受け皿」があれば、話は通じます。
今、ここにいらっしゃるみなさんの場合、この場所にぼくの話を聞こうといらっしゃっているわけですから、
受け皿は初めから少しできているわけです。
それで、話の中身によって、受け皿がちゃんとできるかなくなってしまうか、に、なるわけです。
親子で考えましょう。
親子は、初めから「受け皿」があるわけでもありません。
親子なんだから分かってくれるはずだというのは、親の勝手な思いこみです。
親子だというだけで信頼関係が築けるわけでは、ありません。
親子の愛、親子の信頼関係というのは、そういうことではありません。
この塾が続いていれば、15回目くらいには、「親子の愛」について話す予定になっています。
まとめていうと、「受け皿」とは、関係づくりのことです。今日は、どうやって子どもに「受け皿」を作るか、の話です。
子どもとの関係は、大人の側から作ってあげないと、いけません。
子どもから作るのは、はっきり言って、ほとんど無理です。子どもとの関係づくりの責任は、大人にあります。
人と仲良くなるのに、みなさんはまず、何をなさいますか。
まず、挨拶でしょう。
挨拶できないと、次の一歩が踏み出しにくい。
親子でも、挨拶からなんです。
それから、挨拶した後、仲良くなるために、次にどうされますか。
相手のことを根掘り葉掘りたずねますか。
「あなたはどんな人ですか。何が好きですか。趣味は。生い立ちは。今の収入は。恋人はいますか。住んでいるところは・・・。」
というように。
うっとおしいですよ。絶対に嫌われますね、その人に。
これを「根掘り葉掘り」と言います。
子どもが帰ってきたとき、いきなり、今日はどうだったのか。何か変わったことはないか、だの、
宿題はどのくらいあるのか、だの、
今日は先生に叱られなかったか、だの、
「根掘り葉掘り」聞いていませんか。
やっていたら、まずそこで関係を損ねていますね。
では、どうしたらいいのでしょう。
まずは、自分のことを語ることですね。
たくさんはだめですよ。ちょっとだけ。
たくさん聞かされると、うんざりしてきます。
それから、子どもが語り出したら、子どもの話を聞くこと。
自分だけが一方的に話すのは、まず、拒否られますね。
子どもとの関係の悪いお母さんは、ほとんどしゃべりすぎです
ご自分では気づいていらっしゃらないんですが、よくしゃべります。
子どもの考えも代わりに言ってあげたりします。
人から見たら、とっても滑稽なんですが、ご自分では、
それが当たり前になっていますから、そのおかしさに気がつきません。
子どもの話すべきことを、お母さんがみんな話してしまうのです。
ひどいときには、子どもの気持ちまで、勝手にぺらぺら話してしまいます。
「遠足で、また迷惑かけてきたんと、ちがうでしょうね。」とか、
「するべきことをしなさいよ。しんどいとかいう言い訳は、聞かないよ。」とかね。
人に出会ったときに、
「挨拶しなさい。もっと、ちゃんと。そんな挨拶の仕方でいいと思ってるの。」
「そんな言い方したら、人が気分悪いでしょ。相手の気持ちも考えなさい。」
こういう方には、自分の子どもの中に受け皿を作ることはできません。
子どもは、うるさいし、怒られるから仕方なしに「いいや。」とか「はい。」とか「分かった。」とか言っているだけで、
お母さんの言葉は心に全く届いていません。
まして、人前でこれをやられたら、プライドは傷つきますよね。
ともかく、自分がしゃべり続けることよりも、子どもの話を一生懸命に聞くことが大事です。
自分が一生懸命にしゃべっては、いけません。
子どもの声をよく聞きましょう。
ただ、本当に難しいなと思うのは、手をとめて向き合って聞くことも大事だけれど、
思春期に近づいた子どもたちには、聞き流すという聞き方も、必要なんだということなのです。
聞き方にも、絶対はないんですよね。
僕なんて、向き合って聞かれたら、話せなくなってしまいます。
恥ずかしがり屋ですから。
今でも、大勢に見つめられて、穴があったら入りたいほど、恥ずかしいです。
(ここ、笑うとこですよ。はい。)
それはともかく、思春期の子どもに向き合って話すのは、人生の重要な話だけにして。
ちょっとした出来事の会話は、何か用事をしながら聞いてもいいんですよ。
その方が、子どもも楽なんです。
それから、タイミングも大切です。
どんなにいいことでも、タイミング悪く出された言葉は、子供の心に受け皿を作りません。
たとえば、この熱い日ざしの中で、子供が学校からくたくたになって帰ってきた、そのときの親からの第一声が、
「ランドセル、ちゃんと置いたの。」
「お弁当を台所に出しておかないと、洗いませんよ。」
「先に宿題をしてしまいなさい。」
そんな言葉だったら、子供はどう思うでしょうかね。
最初の言葉は、
「お疲れ様」とか、
「今日は暑いから大変だったでしょう。」
といった言葉でしょう。
それから、一息入れたら、ランドセルを片づけておいてね。」
と言うべきですね。
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