多賀風が吹く

Posted By on 2011年7月8日

プールの季節。
 いつものジェントルウインドではなく、どちらかというと、イルウインドの話。

 準備体操が終わった。子どもたちは、プールの観覧席にバスタオルをたたんで置いて、シャワーを浴び、おたまじゃくしやたまご、カエルなどに分かれる。

 水泳終了後、
「バスタオルがない。」
「ぼくのバスタオルどこや。」
「先生、○○さんのバスタオルがありません。」

「そうか。」
と言って、笑っていると、先生用の座席に積まれたタオルに誰かが気づいた。

「あそこにある。」
「多賀風や、多賀風が吹いた。」

 何人かがやってきて、頭を下げる。
「先生、ごめんなさい。今度からちゃんとたたみます。」
「先生は、どう置きなさいと言いましたか。」
「きちんとたたむ。」

「ぼくは、ちゃんとたたんでいました。」
「それは、絶対にありません。先生は、一つ一つ確かめて、たたんでいないものだけを取り上げました。」
「ごめんなさい。」

 バスタオルをたたんで置くというのは、躾である。子どもの自由な考えや自主性なんて全く関係ない。
躾は、厳しくする。

次の日、ポンと投げてタオルを置いた子どもに友達が、言った。
「多賀風がふくよ。」

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