何の取り柄もない

Posted By on 2011年12月11日

幕末から維新にかけて活躍した杉純道という傑物がいた。

彼は、勝海舟の門人で

確か塾頭のような位置にいたらしい。

維新になってから、明治政府の要職についた有能な人物だった。

彼が勝海舟に入門願いに行ったとき、

「わたくしは、何の取り柄もない人間ですが・・・。」

と言ったところ、

「何の取り柄もない人間なんぞ、必要ない。帰れ。」

と、勝に言われて、怒って帰ったそうだ。

その後、勝が台所をのぞいたら、杉が料理を作っていて、

「考えてみましたら、わたくしは、料理がうまいという取り柄がございました。」

と、笑ったそうな。

逸話だから、どこまで真実かは分からない。

しかし、なんらかの本質を考えさせられる。

取り柄のない人間なんて、いない。

僕はそう思って教育をしている。

もちろん、他人と比べていたら、取り柄も取り柄には見えない。

一流のシェフになれなくても、おいしい料理を作って家族の心を豊かにすることはできる。

Jリーガーになれなくても、少年サッカーで子どもたちにサッカーの楽しさを教えることはできる。

学者になれなくても、何人かの子どもを教えることはできる。

俳優になれなくても、すてきな舞台道具を作ったり、PAになることはできる。

取り柄を見つけるということは、一番になることではない。

自分の持てる力を精一杯に使える筋道を立てることだ。

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