親力 31  事実を確かめる

Posted By on 2022年3月11日

※ 事実を確かめる
叱る時には、ある程度冷静に自分を落ち着かせることが大切です。子どもの問題行動に対しては、腹が立つのが当然です。そのかっかしている心を少し冷やす期間が必要なのです。
冷やすためには、問題行動と思われるものの、具体的な事実を確かめて、できれば
「なぜ我が子はそういう言動をしたのか?」
という問いかけをして分析することをしなくてはなりません。ただやみくもに
「怒ってはダメだ」
と、自分の心を抑え込もうとするだけでは、前には進みにくいものです。
 例えば、子どもが友達に意地悪をしていたということが分かった時、
「うちの子がなんてことをするんだ。これまでそんな子どもに育ててきた覚えはない。」
と思いますよね。
 でも、そこで、子どものしている意地悪というものの実態。いつ、どんなときに、何度、そういう言動をしたのか・・・と、考えていくのです。もちろんその事実を確かめるために、本人からの話、友達の保護者からの話をよく聞いて、学校に行っているならば、担任の先生から事実を教えてもらうなどして、実態を把握します。
 そして、なぜ我が子はそういうことをしたのかということを考えていきます。そうすると、叱る方向が少し見えてくるものです。
 子どもは問題行動を起こすものです。親の願いとかけ離れたことをするものです。

 昔、低学年で意地悪なことをよくする子どもがいました。お母さんと二人で話していた時、
「どうしてあんな意地悪な子どもに育ってしまったのでしょうか。うちでは、そういうことはいけないと言い続けてきたのに・・・。」
と悩んでおられました。
 僕は、その子の書いた作文を読みました。そこには、
「私はお母さんに嫌われている。私は家にいるのがしんどい。」
ということが書かれていました。
 その子は3兄弟の真ん中で、お姉さんはどこか頼りなさげで、手をかけてあげないといけない雰囲気がありました。弟はまだ幼くて、手のかかるときでした。その子はしっかりもので、なんでも自分でちゃんとできるものですから、お母さんはその子に手をかける必要がなくて、お姉さんと弟にばかり目が行っていたのですね。
 僕の話をお母さんは涙を流しながら、それをぬぐおうともせずに、聞いていました。そして、
「まだ間に合いますか?」
と聞いてこられました。
「親子なんですよ。いつでも取り返せます。二人だけでの時間を意識して作ってください。散歩でも買い物でもいいです。あの子に、『あなたに任せると安心だ。』と言って、仕事を頼んでください。」
と言いました。
 次の日、少し泣きはらした顔で、しかもとてもいい表情でその子は学校にやってきました。
「先生、お母さんと二人で一晩中話ししたんだ。ずっと抱っこしてもらって。二人とも、ずっと泣いていたんだよ。」
と言いました。
 それから、その子の意地悪は極端に減りました。
 原因に思い当ってそれをなくす努力をすれば、叱ることさえ必要なくなるんですね。

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