教師になったわけ

Posted By on 2021年10月24日

ストーリーテリングの話で
「先生になったわけ」を
選択された。
もう、話すことはないとおもっていたがー。

僕が先生になったわけは、
中学時代に遡る。
毎朝の10分学習で算数のプリントを
やって、日直が集めて職員室に
持って行っていた。
ある時、日直が行った後、
社会のK先生が入ってきて
教卓の上に落ちていた1枚のプリントを
取り上げて、
「多賀、お前のや。取りに来い。」
と言った。
僕は、
「そんなしらんやん。」
言った。
すると、普段は授業中でも
子どもとタメ口をきいてるその教師は
虫の居所が悪かったのか、
「だれに向かって口をきいてるんだ」
と怒り出し、廊下へ連れ出された。
20発くらい殴られた。
僕を殴るその教師は、醜い顔をしていた。
僕は痛みは感じなかった。さらに、
「家に帰って反省文を書いてこい」
と、言われた。
僕は学校から病院へ直行した。
と言うのは、
母が癌で入院していたから。
母一人子一人であった。
「僕は悪くない。反省文なんて書きたくない。」
と言う僕に、母は、
「私はもうすぐ死ぬかも知れないんだよ。
そしたらあんたは一人で生きて行かねばならない。いい高校へ行って、いい大学へ行って、まともな仕事につかないといけない。そのためには、内申書に悪く書かれるわけにはいかない。
我慢して書きなさい」
言った。
僕は泣く泣く反省文を書いて持っていった。
「親しき中にも礼儀ありと言いますが、僕の言葉はーーーー」
反省文を読んだK先生は、したり顔で
「よく反省してるみたいやな。」
と言った。

大人になったら、子どもの気持ちの分かる教師になろう。
そう決意して教師になったが、
なかなか子どもの気持ちをくむのは
難しいことだった。

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