発想の転換…『次郎物語』
Posted By taga on 2018年9月20日
人は蛸壺的思考に入り込むことがある。
いったん、そういうところに落ち込むと、
自力ではなかなか抜けられない。
周りのすべてが自分にとってのマイナスに感じてしまう。
みんなが敵対しているような気になってしまう。
僕は小学生の時にそんな蛸壺に入り込んだ。
そのとき、
下村湖人の『次郎物語』が光をくれた。
主人公の次郎は、三人の兄弟の中で自分だけが一時里子に出されていた。
それでいじけていた上に
祖母から露骨な兄弟差別を受けて
さらにかたくなな子どもになっていた。
しかし、あるとき、気づくのだ。
母は愛してくれている。
父も信じられる。
兄も弟として大事にしてくれるし、弟は慕ってくれる。
里親のはまも、その娘も自分の支持者だ。
信頼できる友人もいる。
つまり、自分の不幸の原因は祖母だけだったと。
すると、呪いがとけるように目の前が明るくなった。
祖母に対しても、哀しい人だと見られるようになった。
この本を読んだとき、僕にも変化が起こった。
蛸壺の外をきちんと見ればいいんだと。
ときどき行き詰まる子どもが出てくる。
そんなときには、僕は子どもたちに数えさせる。
「あなたのお母さんはあなたをどう思っているのかな?
お父さんは?
先生【僕】は?
【親しい子どもの名前をあげて】〇〇さんは?・・・。」
そうやって、自分の周りには自分のことを思ってくれる人間が何人もいることに気付かせる。
人はときどき蛸壺的思考にはまる。
蛸壺は割ればいいんだ。
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