松下崇くんの単著

Posted By on 2016年3月12日

『学級を最高のチームにする365日の集団づくり』6年
このシリーズは、赤坂真二の編著。
1年から6年までの著者陣は、近藤佳織、宇野弘恵、岡田広示、南恵介、松下崇と、
6人のうち5人までは、共に仕事をしたり、飲みに行ったりする、いわば仲間である。
従って、僕は、このシリーズに関する書評は書かない。
この中から、1,2冊だけ取り出して「すばらしい」と語るのは不義理だし、
全部凄いなんて言うのも、嘘くさいから。
だいたい、書評を書くのは、好きじゃないし。

ただ、6年の松下崇についてだけは、語っておきたい。
知る人ぞ知る実践家だが、今回が初の単著となる。
背の高い男である。
僕は見上げながら話す。笑笑
ラグビーをしていたから、細身だががっしりしている。
彼がどなったら、子どもたちはびしっとするだろう。
しかし、彼はそういう手法をとらない。威圧感を出さない。
もしもそういう子どもをビシッと抑えつける教師であったら、
彼から学ぶことは何もないだろう。
しかし、彼の手法は、多くの若手が実践できるものをもっている。
僕は彼のクラスを見て、授業もさせてもらったから、よく分かる。
とても細やかなのである。
繊細すぎると言ってもいいかも知れない。
常にまよい悩み考えながら進んでいる謙虚な姿こそ、彼のヒドゥンカリキュラムなのだ。

初めて会ったのは、冨山だっただろうか。
真面目な実践を持ってきて提案していた。
未熟で、短い時間の中で十分に思いを伝えられていなかったが、
言い方よりも中身のある実践であった。
「この実践での話をもっとした方がいい」
と、そのときのグループに進言したほどだ。

その次に出逢ったとき、彼は自分の失敗を語っていた。
若手が失敗を語ることは難しい。
それが実力の全てだと判断されてしまうかも知れないし、
それを乗り越えてあまりある実践の積み重ねが示せるわけでもないからだ。
でも、彼は語る。いつも等身大なのだ。
それでいて、出逢うたびにいつも大きくなっていっている。等身大の入れ物そのものが大きくなっていっているのだ。
カリスマ性で人気を博するような実践家ではない。
いつも、まよい、考えている。今の自分に満足などしていない。
おそらく彼はこの単著を喜ぶとともに、もうその実践の足りなさを考え始めているはずだ。
松下崇とは、そういう人間なのだ。
彼の主催するセミナーには、彼が勤めていた学校、今の学校からたくさんの教師が参加する。
おそらく全国の講師の中で、ピカイチの人数だろう。
それは、彼の実践が地に足の着いた、職場に根ざした、
仲間を大切にする実践だからだ。
若い先生は彼からこそ、学んでほしい。
この本を、そういう松下崇という教師の言葉だと思って読んでほしい。
6年生担任だからではなく、教師として学べることがたくさんあるだろう。

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