目を開き、耳を立てる

Posted By on 2016年2月25日

僕は今でこそ教室の「あの子」について各地で語っているが
実際には、真剣に取り組んでいたわけではない。
私学ということもあって、
僕はあまり強い関心はなかった。
ときどき公立で指導していたから、
全然知らないというわけではなかったけれども。
だから、いつも、
「僕には偉そうに語るものはないんですよ。」
という前提でお話させて頂いている。

一度現場を離れて動き出した時に、
これまで自分の周りにもたくさんの「あの子」たちがいたということを
知らしめされた。
ある日、発達障碍のセミナーに参加した時に
会場前のフロアで本を売っている保護者に出会った。
それが「ライト・イット・アップ・ブルー」を日本で広めている
佐伯さんだった。
娘さんが僕の教え子であるが、
僕はこのときまで、この方の息子さんが発達障碍だということを
全く知らなかった。
保護者からはいろいろな話を聞くタイプの僕なのに、である。

その後、自分の周りにたくさん、
発達障碍に悩む保護者の方がいらっしゃることが分かってきた。
これまでもそうだったはずなのに、
なぜ突然のように、そのことが分かってきたのか。
僕自身の目が開き、そこを見るようになったこと。
耳を立て、そういう情報に敏感になったこと。
心を広くして、そういう方の思いを入れられるようになったこと。
等が理由だろう。
つまり、僕自身の問題だったわけである。

目を開き、耳を立てよう。
そうすれば自ずから、声なき声も入ってくるものだ。
「どうして言ってくれないんだろう」
と思う前に、言ってもらえない自分を自覚するべきなのではないか。

About The Author

Comments

Comments are closed.