帰国子女学級
Posted By taga on 2015年11月1日
教え子の訃報を聞いてから
ずっとそのときのことを思い浮かべている。
少し書いていこうと思う、35年前のことを。
それが「偲ぶ」ということだと思う。
新卒で担任した四年生が帰国子女学級。
当時の神大附属では、帰国して一年未満の四年生以上というのが
入学の条件であった。
三年時に帰国してきて、日本の学校になじめなかったら
四月から転入ということになる。
馴染めないと言うのは簡単だが
カルチャーショックというのは、
子どもにとっては天地がひっくり返るほどの大事だった。
例えば、アメリカで現地校へ通っていた子どもがいたとする。
アメリカでは、人と違うことをすると褒められ
人と同じことをすると、認められない。
そんな教育を受けてきた子どもが日本の教室に入る。
日本では、
「周りを見なさい」
「人と違うことをしてはいけません。」
「みんな、同じことをしているでしょ。」
と、注意される。
これは価値観を転換しろということだ。
子どもにはものすごい苦痛となり。
自分を否定されたような気持ちになる。
教科でもカリキュラムが違うから、とまどう。
欧米では、当時(今はどうか知らない)、日本の算数よりも二学年くらい遅れていた。
実際はと、思考力とか探究力といった、日本とは別のことを指導していたのであるが。
欧米で良い成績をとっていた子どもが日本に帰ってきたら、
劣等生になってしまう。
掛け算を知らない四年生が帰ってくるのである、欧米から。
そういう子どもたちをあずかるところへ
僕は初任として入ったのである。
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