「許す」ということ

Posted By on 2013年5月19日

「被害者は、やられたことは、忘れない。」

当然のことで、人間として当たり前の感情だと思う。

 

いじめの被害者家族は、

自分の子どもを追い込んだ者たち、容認した教師たちを

決して許すことはできない。

 

僕だって、決して許せない人間がいる。

 

その前提で、続きを読んでほしい。

 

「どんなに憎い相手でも、それでも許す気持ちを持ってほしい。」

と、おっしゃったのは、文楽の花咲太夫さん。

最初、お話を伺っていて、

「自分の愛するものを殺されて、許せるわけがないのに、

この人は、何を言っているんだろう。」

と、反発した。

花咲太夫さんは、続けておっしゃった。

「私は、子どもを殺されました。

医療ミスでした。

でも、許すことで救われました。

だから、私には『許そう』という資格があると思います。」

 

そのあと、どのように苦しまれたか、

激しい葛藤の話もされた。

 

「文楽は、『許し』の文化なのです。」

ともおっしゃって、具体的な話もしていただいた。

 

文楽をそんなふうにとらえたことはなかった。

 

ときどき、自分の中の激しい感情に突き動かされそうになるとき、

花咲太夫さんを思い出す。

 

※ 「仏果を得ず」三浦しをん

文楽なら、この一冊。

 

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