階段の途中で

Posted By on 2013年5月14日

駅の階段を下りていたら

前を歩いていた女性が、

急に壁に近づいてかがんだ。

 

どきりとして、僕も立ち止まったが、

女性は何かを拾って手に持ち、階段の続きを下り始めた。

 

気になって仕方ないので、

追い越すようにして、手に持っているものを見た。

 

ドリンク剤の空き瓶だった。

女性は改札の前でゴミ箱を探すような様子だったが、

ゴミ箱はない。

すると、手提げからビニル袋を取り出して、

その瓶を入れると、くるくるっと丸めてご自分の手提げに入れて

歩き出した。

 

担任を持っていたら、絶対に子どもたちにしたい話だなあ。

僕の足取りが軽くなった。

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Comments

2 Responses to “階段の途中で”

  1. 増渕 より:

    いつも拝見しております。
    わたしもこういう場面に出合うと無性に子ども達に伝えたくなります。
    そして、そういう場を持っている境遇に感謝します。

    多賀先生のこういった文章に触れると、うれしくなります。

  2. taga より:

    ありがとうございます。
    こういうときに、人間っていいなあと思うんです。