「忘れ得ぬ人々」

Posted By on 2012年7月29日

国木田独歩に

「忘れ得ぬ人々」という作品がある。

 

小学生くらいに読んで、

ずうっと心に残っている話。

心に残った人は、

何年か親しく交際した友だちではなく、

彼と出会ったときの宿屋の主人のことであったという

なんとなく納得のいくような、

もの悲しいような話。

 

こういうのを名作って、言うのだろうか。

 

「・・・大津は故あって東北のある地方に住まっていた。

溝口の旅宿で初めてあった秋山との交際は全く絶えた。

ちょうど、大津が溝口に泊まった時の時候であったが、雨の降る晩のこと。

大津は独机に向かって瞑想に沈んでいた。

机の上には二年前まえ秋山に示した原稿と同じの『忘れ得ぬ人々』が置いてあって、

その最後に書き加えてあったのは『亀屋かめやの主人あるじ』であった。
『秋山』ではなかった。・・・」

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