親塾5ーしつけについてーその2
Posted By taga on 2012年6月15日
親塾5のしつけの話は、多くの方が求めていることらしいので、
もうちょっとだけ、ここに書くことにする。
◆ ちょっと話がずれるかも知れませんが、聞いて下さい。
15年以上も前のことです。
日本私立小学校連盟の大会が、夏休みに東京でありました。
そのときに、東京の先生たちが講師にお招きしたのが、文芸座の女優さんでした。
品がいいというのか何か知りませんが、ほんとに人を見下した方で、
自分はクイーンズイングリッシュを使えるから、海外のホテルへ行くと、あつかいが全然ちがうんだとか、
下町は下品で、山の手は上品だとか、人間を差別したようなことばかりでした。
言葉はていねいでしたが。
聞くだけでむかむかしていたところへ、
関西の芸人の下品さをバカにして、最低だとおっしゃったんです。
そのころは、まだ、今のように関西の芸人が全国でメジャーになるのは、少ないころでした。
腹が立っても、講師でお招きした方に文句をつけることは、間違っているので、黙っていました。
しかし、その方が、退場された後で、当時、国語部の全国委員長だったぼくに挨拶が回ってきたので
「すんまへん。下品な関西の言葉を使わしてもらいます。
えらい言葉が悪うて申しわけおませんが、
よろしゅう、聞いておくれやす。」
と挨拶したら、大勢が拍手してくれました。
心ある教師たちが、たくさんいたということですね。
人を見下して、人を気分悪くさせるのが、躾の行き届いた方だとは、僕は、決して思いません。
● ところで、躾というと、真っ先に思い浮かぶのは、なんでしょうか。
挨拶ではないですか。
「お早うございます」「こんにちは」「いただきます」「ごちそうさまでした。」と言った基本の言葉が、
何も言われなくても自然に出てくる子どもは、気持ちのいいものです。
この挨拶を習慣づけるために、大切なことは、
親が自分から声をかけるということです。
親がかけた声に子どもが反応しなかったら、不機嫌になればいいです。
「挨拶を返してくれないのは、気分わるいわよ。」
と、ひとこと、意思表示するべきです。
そして、ちゃんとした挨拶ができたら、にっこり笑顔を返してあげるのがいいでしょう。
返事がなくても、必ず、次の日も、親はちゃんと挨拶する。
それをし続けるから「しつけ」だと考えて下さい。
し続けることで、習慣になってしまうと、本当のしつけができあがります。
つまり、しつけの基本は、生活習慣なのです。
Ⅲ. 「しつけ」と「おしつけ」のちがい
しつけというのは、自然な形で身に付いていくものなのです、本来は。
無理矢理力でおさえこむようにする「しつけ」は、「おしつけ」と言います。
しつけは、頭の中の知識として覚えさせることではありません。
子どもって、よく「わかっているよ。」と言うでしょ。
大人はそれを聞いて、親も先生もですけど、
「分かっているのに、どうしてそんなことしたの。」
と聞きます。
これは、実は、とても難しい質問なんですよ。
考えてみて下さい。
ケーキを食べ過ぎたら、身体に悪いことは、はっきりしています。
知識としては、分かっていますよね。
でも、「わかっちゃいるけど、やめられない。」んですよね。
すみません。これは、自分のことを言っています、はい。
分かっていても止められないことは、世の中にふつうにあります。
ダメなことと分かったら、全てすぐに止められますか。
それは、よほど意志の強い頑固者で、そういう方は、ここにこないでしょう。
子どもだって、そうです。
廊下を走ったらいけないことは、分かっているんだけど、廊下を歩くことが習慣になっていないから、走ってしまう。
挨拶をきちんとしないといけないことは分かっているんだけど、つい、タイミングを逃してしまう。
そんなことが、ほとんどなのです。
それに対して、大人は、
「分かっていて、どうしてやるんだ。」
等と聞きます。
問いつめられた子どもは、思春期に入る前なら、最後には、「ごめんなさい」と謝ります。
「もうしません。」
とも、言います。
それを聞いた大人は、多くの人が、
「もうしませんって、前も言ったよ。」
と、さらに追いつめます。子どもが
「本当に、もうしません。」とか、
「絶対に、しません。」
とか言います。
「本当の本当でしょうね。」
「はい、本当です。」
「絶対やな。」
「はい、絶対です。」
「間違いないね。」
「はい、まちがいありません。」
「返事が、小さい。」
「はい!」
「よし、忘れないでね。」
「はい!」
と、こういう感じになります。学校の先生は、よくこれをやっていますよ。
これって、聞いていたら、おかしいでしょ。変でしょ。
これでは、子どもの心に届くはずがありませんよね。知識をおしつけただけなんです。
そういう意味では「三度としません」という言葉は名言ですね。
自分の力のなさを痛感する最近です。