親塾№2のプロローグ
Posted By taga on 2012年5月9日
親塾の2回目が終わった。話したことの一部、プロローグを紹介する。
話したときと同じ、敬体で書く。
◆ 二回目の親塾です。
今日も、じっくりと子どもの話をしていきましょう。
親塾では、大人の生き方についても、考えていきましょう。
子どもの成長だけが、教育ではありません。親も成長していかなければ、子どもにえらそうには言えません。
そして、子どもから学んでいきましょう。子どもたちが我々を成長させていくことも、多いんですよ。
Ⅰ.子どもの本音を聞き取れていますか?
今日は、子どもの本音をよく聞き取りましょう、という話をします。
今時の子どもは、昔の子どもたちと比べて、変わってきたのでしょうか。
今から、20年前も、「最近、子どもが変わってきた」と言っていました。昔も今も、そう言われ続けてきました。
いつの世でも、「今の若いものは・・・」と、年寄りは言うものです。
それでは、もっとも「若いもん」である子どもは、昔と比べて変わってきたのでしょうか。
僕は、「変わってきた」と、思います。
昔というのをどこに設定するのかは、難しいことですが、
少なくとも、僕が教師になってから今までの32年間で、子どもは明らかに変わってきたと思っています。
だいたい、こういう言い方をするときは、「悪くなった」という意味ですね。
ちょうど15年ほど前の神戸児童殺傷事件、いわゆる酒鬼薔薇事件のころから、「ふつうの子どもたち」が、荒れ始めたような気がします。
それまでは荒れるこどもたちというのは、いわゆる「不良」というレッテルを貼られたこどもたちが多かったのです。
生活もすさんだ子どもたちが、多くいました。
今は、家庭的にも環境の恵まれている子どもたちが、大きな問題を起こすようになりました。
ホームレス狩り、殺傷事件、家族を焼き殺した事件等々。
生活環境の悪くない子どもたちの起こした事件です。
その頃から、いわゆる「ふつうの子どもたち」が荒れ始めたと感じています。
だから、ニュースなどでよく、「・・・いい子だったのに」とか
「どうしてこういう家庭の子どもがこんなことを」とか
「あの子がそんなことするとは、信じられません。」
といった言葉が流れるようになりました。
つまり、「荒れ」のユニバーサルデザイン化が始まったわけですね。
どんな家庭のどの子どもでも、みんな、荒れたことをする可能性のある時代に、突入したと考えています。
そんな極端な非行は別としても、明らかに子どもたちが変わったなあと思われることが、起こるようになりました。
例えば、新学期になると入ってくる一年生は宇宙人?といったことが言われるようになったのは、15年くらい前からです。
一年生の初日はさすがにおとなしいけれども、二日目から、教室に先生と子どもたちだけになったとたんに、たち歩く、さわぐ、状態です。先生の言うことを素直に聞く一年生が減ってきたのです。
公立では、一年生プロブレムという言葉で、難しくなった一年生の子どもたちをどうするかということに取り組んでいます。
どこの小学校でも、一年生ではそういうことが起こっているけれども、はっきり言って、対応できていません。
これは、ぴしっと厳しく指導しろといった、根性論だけでやれる問題ではないのです。
今の一年生をスタートからうまく育てるには、それなりの手だてが必要なんですよ。
それから、ピア・プレッシャーという恐ろしい状態が、思春期のこども達を席巻しています。
これについては、後で詳しく述べます。
また、よく言われるモンスター・ペアラント(MP)・・・ひどい方もいらっしゃいます。
こういうセミナーに参加される方は、そんなことにはならないでしょうが、
ミニMPに気づかずになっていらっしゃる保護者の方も、多くなっています。
先生の側が、親からのクレームに対して過敏になりすぎていて、ただの要望がMPにとられている場合もあります。
それを避けるには、文句のつけ方が大事ですね。
連絡帳とかにいきなり文句を書くと、若い先生たちは、それだけでびびってしまいます。
最初にね、ひと言書くといいですよ。
「いつもお世話になっています。」とか、「この間はご丁寧なお返事、ありがとうございました。」とかね。
それだけで、「うわっ、文句がきたっ。」という、先生のかまえがなくなります。
それから、ご自分の価値観を学校におしつけてくる方がいらっしゃいます。
ご自分の価値観をそれぞれでもたれることには、問題はありません。
問題なのは、学校という価値観のあるところへ、ご自分の価値観を持ち込んでこられることです。
うちにはうちの考え方がある、と、おっしゃって。
うちの考え方は、うちの中だけでやっていただきたいですね。
学校の価値観が全ていいとは思いません。
おかしなことも、あります。
でも、学校という一つの社会に子どもを行かせて学ばせているのだから、
その社会で常識とされていることには、とりあえず従うべきでしょう。
世の中の常識から考えておかしなことだけに、クレームをつければよい。
非常識な学校もありますけどね、どことは言えませんが。
学校の側だって、変わってきました。
「親と親しくなるな。距離を置け。」と、先生達は、管理職に言われます。
私学だけでなく、公立でも、ですよ。
一理はあるのです。保護者と親しくなると、あれこれ言われかねません。
実際、保護者にメールアドレスを教えたために、トラブルに巻き込まれたという例もあります。
今は難しい時代ですからね。でも、ぎすぎすした時代でもあります。
本当に子どものことを考えたら、親と先生がタッグを組んで子どもを後ろから支えていくのが一番なのに、
教師と保護者が距離を置かなければならなくなっています。
親・社会、学校現場、みんな変わってきています。
そういう中で育つ子どもたちが、変わってくるのは、当たり前のことなのです。
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