中山七里は、音楽の世界を描き出す

Posted By on 2012年9月14日

中山七里の

「おやすみラフマニノフ」

を読んだ。

 

えっ、これって推理小説なんでしょ。

と思いながらも、

作家の描き出すクラシック音楽の世界に魅入られてしまう。

 

僕には、クラシック音楽は全く分からない。

楽譜は読めない。

ピアノは弾けない。

カデンツァって、何のことかも分からない。

 

それでも、この本を読めば、演奏の臨場感と音が頭の中に広がる。

「ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番」の世界が

広がっていく。

こういう文学体験は心地よい。

 

一晩で読み切った明くる朝、

僕は数少ない手持ちから、

プラッツの「第2番」を取り出して

聴きながらもう一度演奏シーンを読んでいった。

 

「第一楽章の始まりのピアノは、ロシア正教会の鐘の音だったんだな。」

そう思えば、なるほど、そう聴こえてくる。

そういう楽しみ方は邪道かも知れないが

新しい「本の世界」だった。

 

推理としてのプロットは大したことはなかったけど。

 

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