◆ ひとりひとりが生きる授業の工夫

Posted By on 2011年11月16日

「ひとりひとりを大切にする授業づくり」講演から

その6

◆ ひとりひとりが生きる授業の工夫

さて、ここからは、授業の中での話に絞りましょう。

授業の効率だけを考えると、一人一人を全て活かせる授業というものは、本当に難しいですね。

だから、ときどきでもいいんですよ。

例えば、子どもたち全員に初読の感想を書かせます。

そんなことはだれでもやっていることですが、

ツイッターサイズぐらいに、書く字数を制限すること。

そして、全体で感じたこと。なぜだろうなと疑問に思うこと。という二点について書かせます。

どちらか一つしか書けなくてもかまいません。

字数を制限しているから、書くことの得意な子どもは、絞り込んで書こうとします。

書くのが苦手な子どもは、時間いっぱいでやっと書けるということになります。

それでも、結果的には、感想の量はほぼ同じになります。

その感想を、このときは教師としてちょっとがんばって、全員の感想を一枚の紙に書きます。

ワープロを打ってもいいです。

だれが書いたか、ちゃんと名前も入れて、全員の文を書き写します。

そして、それを印刷して全員に配り、読み合います。

このときに、全ての子どもの文章を確かに読ませるために、赤ペンでチェックをいれさせます。
意見や考えに同意できるときは○。とても賛成だというときは、◎。ちょっと僕とは考えがちがうな、というときは、△を名前のところにつけさせるのです。

これでまるまる一時間かかりますが、けっこう子どもたちは熱心に読むものですよ。

その後、全体で話し合って、だれの意見を採り上げていくのか、考えます。

みんながひとりひとりの意見を読んでいるので、スムースにまとまっていきます。

このやり方なら、ひとりひとりがきちんと全員に受け止められる学習になりませんか。
さらに、国語の授業においては、ひとりひとりの子どもを思い浮かべながら教材研究をしてほしいですね。

指導書に書いてあることは、目の前の子どもたちを想定していることではなく、一般的な子どもというものを前提に作られています。

その通りに授業をしても、面白くないでしょうね。

やっぱり、教材文を読みながら、野田くんならどろくさいことを考えてくるかなあ、とか、

鳩山君なら、この言葉を早とちりしてしまうかもしれないね、とか、

管くんには、この言葉はちょっと難しいかもしれないね、などと、

そういうことを考えながら、教材を読んでいく。

それだけで、一人一人を大切にする授業づくりになるのです。

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