一対一の関係を作ろう

Posted By on 2011年11月13日

「ひとりひとりの子どもを大切にする授業づくり」講演

その3

◆ 一対一の関係を作ろう。

最後は、1対1の関係で勝負しかない。

「受け皿」を作る。まず、こちらが受け止めるところから。

子どもとの関係は、あくまで一対一が基本です。

問題行動をとる子どもが、教師の言うことを受け入れるかどうかは、

まず、一対一の関係ができているかどうかによって、決まるのです。
そして、一対一の関係を作るために大切なのは、

教師の側が子どもに対する「受け皿」を持てるかどうかにかかっています。
僕は、人を受け入れる心を「受け皿」と呼んでいます。

お互いに受け皿ができたときに、一対一の関係が成立したと考えています。
例えば、今、僕の話を聞いていらっしゃるみなさんで言うと、

以前から何度か僕の話を聞いて下さってここに来られている方がいらっしゃいます。

この方は、僕の言葉への受け皿が初めからできているわけです。
そして、今ここまで話を聞いて、

「わりとおもしろいこと言うやっちゃなあ。」

と思って下さると、少し受け皿ができはじめているわけですね。
さらに、

「なんや、この先生の話はつまらないなあ。」

と思われていたら、もうこからの時間は座っていてもつまらなく時間が過ぎていくだけになります。

その方には、受け皿はできません。
そういうものでしょ、人間って。

こわいからここでみなさんに

「受け皿できてますか。」

とは、たずねません。

できかけているという前提で話し続けます。
子どもとの関係の場合は、まず教師が、子どもを丸ごと受け止めることが大切だと思っています。

こちらが先に受け止めないと、子どもは心を開いてはくれません。

子どもの言う言葉を、教師が真剣に聞く、ということが、第一歩です。

真剣に聞くというのは、ふざけたり、揶揄したりしないで真面目に聞くということです。
「この人は、まっすぐに自分の話を聞いてくれる。」
という気持ちにさせることです。
心のすさんだ子どもや、気持ちの崩れた子ども、問題行動をとる子どもたちは、

他人にまっすぐぶつけてくることが、苦手です。

素直ではありません。

そんな子どもたちをどう受け止めるのか。
僕のやってきたことをお話しします。
子どもを受け止めることの第一歩は、その子の良さを認めるということです。

子どもの良さを認めるということは、どこでも良く言われることですね。

多くの先生方は、日々、教室で実践しておられることでしょう。
ところが、口で言うのは簡単なことですが、実際はそんなに安易なことではありませんよね。

子どもの悪いところなら、いくらでも見つけることができます。

そういうところに目がいって、なかなか本当に良いところなんて見つけられないものです。
でも、我々はプロフェッショナルですから、子どもの良さをとらえられなければなりません。

それも、できるだけ出会ってから早い時期にです。
そのためには、子どもを見る観点というものが必要です。

そういう観点は、学んで身に付けるものです。

子どものことをえがいた本を読み、子どものことを語るいろいろな先生の話を聞いて、学んでいくのだと思います。
道ばたに咲くスミレの花。多くの子どもたちは見過ごして通ります。

そんなときに学校の先生が

学校の外の石垣にスミレが咲いているよ。知っていたかな。」

と話すと、子どもたちは帰り際にスミレの花を見ます。

そして、きれいだなとか、春だねって、思うのです。
それと同じで、先輩が語る

「子どもって、こうだよね。」

とか、

「A君は、こんなことがしたかったんじゃないのかな。」

というような言葉で、それまで気づかずに通り過ぎていた子どもの見方を教えられることは多いものだと思いますよ。

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