国語教育推薦書5

Posted By on 2014年10月13日

「読みとり指導」  白井勇 明治図書

この本は、衝撃的だった。

僕の国語の考え方を根本的に変えた。

改めて開いてみると、何重にも赤で傍線を引いている箇所がある。

「まちがいがないのにすらすら読めないのは、語句の集合化ができないからである。

意味をまとめられないことが読みを進める足をひっぱって読みをとぎれとぎれにさせる。(36頁)」

――読みのひっかかりを見事に表現している。

さらに、教師の計画によって学習を進めるから結論も思うようにしたいと考えるのは、

算数なら良いが、

理解というものを考えるとできるはずがないと断じている。

白井さんは、正しく切ること、文章のままに正しく音声化することを重要視している。

僕が日ごろから口を酸っぱくして言っている、音読こそが読解の第一歩だというのは、ここにある。

 

自分の原点のいくつかがこの本にあったんだなと、

ピンクのマーカーで示したところがしみいってくる。

167頁には、「集める」ということを力説している。

「国語教育でも、集める仕事がもっとあってよい。

集めてよい材料が文章の中にはたくさんあり、文章は集めてもらうことを待っている。」

この本は、40年も前に書かれたものであるが、何一つ劣化していない。

今、僕が若い先生たちに語っていることと、同じことなのだ。

読みとりということを、さまざまな視点からとらえたこの本は、名著と言ってもよいだろう。

 

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