幼児期から低学年の文学体験〔文学性④〕

Posted By on 2014年10月4日

この頃の子ども達は、未分化状態(自分と他者との区別がつきにくい)である。

物語文を読んでいくときに、主人公と同化して(なり切って)読んでいく。

従って、この時期の子どもたちが物語文を読むと、

主人公が体験して感じる思いは、

そのまま同じように心の体験として残っていく。

幼いころに読んだのが最後の一場面が、

大人になっても、時々、鮮明に浮かんでくることはないだろうか?

それは、その間接的な体験が自分の体験のようになってしまっているからだと考えている。

僕が幼い子どもたちに本を薦めるとき、

人間の残酷性や世の中の理不尽さや醜さを描いた作品を避けるようにとているのは、

そのためだ。

年齢が進めば、そういった人間性を否定したようなことでも理解して、生き方を考えていくことが必要である。そういうものを高学年以上では読ませていって良いだろう。それも文学性だ。

しかし、幼児期~低学年の未分化な子どもたちには、

心の中に美しいものを入れてやりたいと思う。心の間接体験は、

真善美のある文学を薦めていきたい。

それらが人生における心の柱を強化してくれると考えるからだ。

 

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