そもそも、作文とは、文章とは、いったい何なのでしょう。
Posted By taga on 2013年7月20日
今、僕が「作文を書いてください」と言ったのは、
どんな文章を求めているのでしょうか。
みなさんが、
「うちの子は作文が苦手で・・・」
というとき、どんな文章のことを指して言っているのでしょうか?
文章には種類があります。
文学的文章には、次のようなものがあります。
物語文
お話づくりをさせたら、上手に書いてくる子どもがいます。
いくらでも想像が広がって書けます。
では、そういう子どもが文章をまとめるのが得意かというと、そうではありません。
詩、短歌、俳句
詩は、技巧的なものです。
低学年の子どもの詩が素敵なのは、まだ表現の仕方が良く分からないために、
自分の語彙の中で、なんとか表現しようとするからです。
低学年の詩で、いいなあと大人が感じるものの中には、
表現が幼くてつたないものが、たくさんあるのです。
詩は、本当の気持ちをそのまま書くものではありません。
僕は、そのことを実感した出来事があります。
阪神大震災です。
その年、五年生を担任して、四月から一月まで、ずうっと詩の指導をしてきました。
そこに震災が起こりました。
僕は、子どもたちにファクスや郵送など、あらゆる手段で原稿用紙を送り、
詩でも作文でもいいから、今の様子や気持ちを書いてきて、と言いました。
学校は始められなかったですからね。
もちろん、書きたくない人は、書かなくてもいいよ、と言いました。
思い出したくないこともありますからね。
そうしたら、たくさん書いてきてくれたのですが、詩はほとんどありませんでした。
子ども達が本当に心にたまったものを吐き出そうとしたら、「詩」じゃなかったんですね。
それ以来、僕は児童詩に対して、懐疑的です。
その他にも、随筆、日記、紀行文などが、文学的文章に分類されます。
随筆の代表が「徒然草」ですが、
早い話が、ブログもコラムも、みんな随筆です。
紀行文の代表は「土佐日記」ですが、これはいまさら文学部でもない限り、読みません。
沢木耕太郎の「深夜特急」なんかが、紀行文ですね。
「深夜特急」を読まれたこと、ありますか。
このシリーズは、おもしろいです。
本が好き、旅も好き、という方は、ぜひどうぞ。
さて、日記は、よく子どもたちが書かされるものです。
僕も子どもたちに書かせてきたし、
日記指導はとても大切な教育だと、今でも思っています。
だからといって、日記、つまり文学的文章がいくら書けても、
大学、社会人になってから、特に役には立ちません。
そういう筋の仕事、たとえば作家であったり、コラムニストになったりするのなら、別ですが。
日記が書けないから、将来困る、ということは、具体的にはありません。
じゃあ、意味がないのか、というと、そうではありません。
実用的でないというだけのことです。
そのことは、後で、説明します。
だから、子どもが文学的な文章が書けないからと言って、
「うちの子は作文が苦手で・・・」
なんて、悩まなくていいのです。
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