ガサガサって、なんの音?
Posted By taga on 2012年4月23日
昔は、怖い先生がいた。
僕が6年を担任していたとき、
M先生という子どもたちにおそれられている先生に、
「多賀先生、ソフトボール部の仁川学院との試合の
人数が足りないので、
6年生から4人ほどソフトのうまい子どもを貸してください。」
と、頼まれた。
僕は、4人の子どもたちを読んで、真面目な顔で、静かに言った。
「お前達。M先生がお呼びだから、
理科準備室に行ってこい。」
「えー、先生、いったいなんの用事ですか。」
「知らんぞ。お前達はいったい、何をやったんだ。
心して行ってこいよ。」
僕は、笑わないように、必死だった。
その子達は、制服をきちんと着て、M先生のところへ行き、
直立不動でお話をうかがった。
「今度なあ、仁川とソフトボールの試合するから
手伝ってくれへんか。」
「えっ。」
ガサガサ。
「なーんや。怒られるんかと思った。」
ガサガサ。
「なんや、そのガサガサっていう音は。」
実は、制服の下に、新聞紙を何重にも巻いていたのである。
「殴られたときに、痛くないように防弾チョッキにしていたんです。」
昔は、怖い先生がいた。
M先生は怖いだけじゃなくて、大きな優しさもありますよね。
怖いだけじゃダメなんだと言い聞かせながらも、大声出してしまう未熟さがもどかしいです。
彼も、昔はそうでした。
今は、大きくなってきたのです。
自分を磨くことですね。
頭を磨くんじゃないですよ。