劣等児に対して

Posted By on 2012年3月1日

母の日記の続きである。

 

特に心に引っかかる文章があったので

ここに書き記したい。

 

「私の組には約一割の特別劣等児が居た。

(今は「劣等児」などという言葉は使われないが、

66年も前の文章なので、お許し頂きたい。)

何とかして劣等児を無くしたい。

劣等児をして学校を彼等の楽園としてやりたい。

常に私は、劣等児と話す機会を多くするように心をくだいた。

私の様な短気なものには大きな苦行であった。

幾日経ってもその効果の現れぬ時は初めの意気も消沈してしまふ様であった。

ある日私が「誰か来て下さい」と呼んだ時、

4月以来、未だ一言も物を云った事のない劣等児がとびだしてきて

「先生、何か御用ですか」と云った。

私はあまりの嬉しさに思わずその子をだきよせて泣いてしまう事があった。

その翌日から「お早う」の挨拶ができる様になった。私の一カ年を通じて

この時ほど深い感激を覚えた事はない。・・・・」

 

僕は、ずっと母を避けてきたが

結局、同じ道を引き継いできたのかも知れない。

 

 

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